Market-Based QoS Control

Key Member

八槇 博史, 田中 慎司

Project Objective

コンピュータネットワークによって媒介された人間のコミュニティを考える際, そこ で共有される限りあるネットワーク資源の効率的運用が課題として現れてくる. 現に インターネットプロトコルによるネットワーク環境は, 要求や性質を異にする利用者 あるいはアプリケーションの間で共用することにより成立しており, そこでの競合が しばしば問題となっている.

デスクトップ会合システムのようなマルチメディア通信に焦点をおいた時, ネットワー ク資源が共有されるためにそれぞれの利用者の使用状況が他の利用者の使用感に影響 する点, また一人の利用者が複数の質の異なる通信を同時に行うことが可能という点 が特徴的である. 有限なネットワーク資源の効率的利用を考える際, 各利用者の複数 通信に対する様々な選好をいかに総合していくかが鍵となる.

人間の選好を効用としてモデル化し, その総合として効率的な資源運用がなされると いうモデルが, 市場の価格調整機構としてミクロ経済学において研究されてきた. 本 研究では, 本来市場の分析のためのモデルである市場機構を設計論としてとらえなお すことで, 上記のような人間を系に含むネットワーク環境での資源の効率的利用を考 え, 実アプリケーションへの適用を通じた評価を行う.

Current Status

多様な利用者とマルチメディアアプリケーションの組合せ, さらにそこで行われる多 くの通信に対する利用者の選好をモデル化しなければならない. そのために, スルー プットなど実装レベルのパラメータではなく, アプリケーションから直接受けるサー ビス品質(アプリケーションQoS)を評価し選好を表明するという利用者像を考え る. これにより, 利用者の選好を代表する消費者エージェントと, アプリケーション によるネットワーク性能からアプリケーションQoSへの変換を代表する生産者エージェ ントとを分離し, エージェント間でのやりとりを通じて最適な割当てを得るというア プローチをとる.


  
図 11: 市場モデルの構成

市場計算機構として市場指向プログラミング環境 WALRASのアルゴリズムを 採用し, 3次元仮想空間を用いたデスクトップ会合システム FreeWalk をその応 用の場として, 市場モデル(図 11)の構築, シミュレーションによる 解析, およびその実装における動作性能の解析を行ってきた.

FreeWalkの特徴として, 3次元共有空間内での利用者の位置関係によって, 各通 信に対する利用者の選好が異なってくることが挙げられる. そこでは空間内での 位置関係は移動によって動的に変化し, 利用者の選好も急速に変わるものと考え られる. これに対応するため, 従来は主に静的な割当てを中心に考えられていた 市場モデル中に, 「現在」(current)と「未来」(future)という二つのカテゴリ を設け, それらの間での取り引きを許して, 選好の動的変化までを資源割当てに 反映させることに成功した[1].

このようなネットワーク資源の動的割当てを考える場合, 割当て結果の品質はも ちろんのこと, 要求の変化に割当て機構が追従できることが必須である. 本研究 では, 上述の市場モデルを実アプリケーションである FreeWalk 上に実装し, 検証 を行った. 同時に, 計算機構を分散して実装する際に問題となる計算時間と通信 遅延との間に生ずるトレードオフ(空間的トレードオフ)について分析を行い, ま た繰り返し計算の打ち切りタイミングと割当ての精度との関係(時間的トレード オフ)を明らかにした[3].


図 12:アプリケーション QoS 制御システム QoS Market

以上の成果を踏まえた上で, FreeWalk という単独アプリケーションにとどまら ず, イントラネット規模でのネットワークにおけるネットワーク資源の割当てを 行うための, アプリケーション QoS 制御システム QoS Market を Windows NT の上で実装し, 任意のソフトウェアについて選好の入力, 資源割当ての計算, 通 信の制御を実現した. (図 12)

Future Direction

人間のコミュニティによって共有されるネットワークとしては, その最大のものとし てのインターネットをはじめとして, 異なる性能や管理ポリシーをもったものが数多 く存在する. 本研究では, それぞれのコミュニティに応じた市場モデルの構築手法の 開発をめざし, 必要とされる性能の評価およびその達成のための手法の研究を実アプ リケーションへの適用を通じて行う. 当面の課題としては以下のようなものがあり, これらについての調査・研究を深め ていく.

References

1.
Hirofumi Yamaki, Michael P. Wellman, Toru Ishida, ``A Market-Based Approach to Allocating QoS for Multimedia Applications,'' The Second International Conference on Multi-Agent Systems (ICMAS-96), pp.385-392, 1996.

2.
Hirofumi Yamaki, Yutaka Yamauchi, Toru Ishida, ``Implementation Issues on Market-Based QoS Control,'' The Third International Conference on Multi-Agent Systems (ICMAS-98), pp. 357 - 364, 1998.

3.
Hirofumi Yamaki, Michael P. Wellman and Toru Ishida, ``Market-Based QoS Control for Incorporating Community Preferences,'' In Toru Ishida Ed., Community Computing: Collaboration over Global Information Networks, John Wiley and Sons, pp. 91-126, 1998.

4.
八槇 博史, マイケル P. ウェルマン, 石田 亨, ``市場モデルに基づくアプリケーションQoSの制御,'' 電子情報通信学会論文誌, Vol. J81-D-I, No.5, pp. 540-547, 1998.

5.
八槇 博史, 山内 裕, 石田 亨, ``市場モデルによるアプリケーションQoS制御の実装:実装上のトレードオフ,'' 情報処理学会論文誌, Vol. 40, No.1, pp. 142 - 149, 1999.



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