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フィールド情報学は,「現場(フィールド)」の視点に立った新しい情報学の在り方です.フィールド情報学は,フィールドで生じる諸問題に対して,情報学の視点から,その解決法を提案することを目的としています.ここでのフィールドとは,「分析的・工学的アプローチの困難で,統制できず,多様なものが共存並立し,予測できない偶発的な出来事が生起し,常に関与することが求められる場である(片井 修)」と,我々は定義しています.

フィールド情報学とは,フィールドにおける複雑な連関性をもつ対象を,「ありのままの状態」で捉え,そこでの情報の扱い方を考究する学問です.従来の情報学では,その連関性から重要でない(着目していない)ものを排除して,単一のまたは統一的なモデルを用いて,対象を捉える傾向にありました.しかし,フィールドにおいては,人々は様々な価値観を持ち,予期しない出来事が起こるため,対象をありのままに捉えれば捉えるほど,多元的,重層的なモデルの並立が必要となります.

元来,自然環境や人間社会で生起する諸問題に対しては,それぞれの分野ごとに解決法が考えられてきました.フィールド情報学では,こうしたフィールドで用いられてきた起源の異なるさまざまな方法を,「フィールドにおける情報の扱い」という共通項のもと,「記述」,「予測」,「設計」,「伝達」という情報の視点から集約することを目指しています.

フィールド情報学教育研究コア

フィールド情報学は,研究者ばかりではなく,さまざまな立場の人々にとっても重要なものであると考えています.たとえば行政の担当者は,フィールド情報学を合意形成や組織の活性化に役立てることができます.非営利団体は,社会貢献活動を効果的に行うために,フィールド情報が役立つと考えます.自営業,農林水産業,病院などの現場をもつ人々は,フィールドのさまざまな課題を理解し,解決するためにフィールド情報学を利用できます.フィールド情報学は,こうした現場の方々と研究者との相互学習を通じて,フィールドにおける実践と研究室における研究開発を同時並行的に展開することを特徴としています.

私たちは,フィールドにおける様々なパイロットプロジェクトを展開して行きます.「環境保全」として,東南アジア諸国における生物圏資源管理,「国際協力」として,世界の言語資源をWebサービス接続し国際活動における言語バリアの克服や環太平洋諸国を中心とした国際的な遠隔教育の実施,「社会教育」として,学校教育との融合による障害者や中小企業集積とのワークショップの連続開催を行います.

この間,フィールド情報学の方法論として,バイオロギング,エスノグラフィなどの分析手法,システムダイナミクスやマルチエージェントシミュレーションなどの予測手法,インクルーシブデザインやメカニズムデザインなどの設計手法,ケースライティングやアウトリーチ・コミュニケーションなどの伝達手法を統合して確立します.この成果を,この分野の初めての教科書として出版し, Webやオープンな場での講義を展開します.

情報学分野におけるフィールドという視点はこれまでに無く,また,フィールドワーカーとの協調によって情報システムの構築方法論を探る研究は世界的に類を見ないものです.