立命館大学 GCOE DH-JAC運営委員会
21世紀に入り,ネットワーク・WEBの進展と普及に伴い,人文科学の分野にも,大きな変革がもたらされようとしている.「デジタル・ヒューマニティーズ」と 呼ばれているものがそれだ.人文科学へのコンピューティングの利用,あるいは両者の協業は必ずしも目新しいことではなく,海外はもとより日本でも, 古くからの実績がある.それでは,現在のこの新しい潮流は,従来の方法論あるいは理念とはどこが異なり,何が有意義なのだろうか? 本パネルでは,海外での この「デジタル・ヒューマニティーズ」への流れを振り返り,さらに,この理念を実現しようとする立命館大学のGCOE「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ 研究拠点」の試みを,実例を交えて紹介する.
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日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点について インターネットをはじめとする情報技術の成熟によって,学問という知の枠組みや方法論が問い直されている.人文科学研究も,もちろん例外ではなく, 現在,まさに大きな岐路に立たされている.われわれは,21世紀COE プログラムにおいて,日本文化研究分野で,有形・無形文化財のデジタルアーカイブが 国際的な研究連携にとってきわめて有効であることを示した.その成果を引き継いだ本拠点では,これまでの人文科学が対象としなかった,モノやコトに 関する地球規模での大量のデジタル情報を対象とすることで,グローバルな研究連携を展開し,新たな研究成果を生み出すことを狙っている.さらに, 本拠点では,グローバルな視点を持ち,国内外の別なくデジタル技術を活用した研究活動ができる新しいタイプの日本文化研究者を育成する教育プログラムを 実施している.本発表では,このような本拠点における「デジタル・ヒューマニティーズ(DH)」についての,研究体制,教育体制,国際連携体制について紹介する. |
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CHからDHへ 日本における人文学と情報処理の連携については,1989年に情報処理学会の中に,「人文科学とコンピュータ研究会」(SIG-CH)が設立され,以後現在まで 20年にわたって活動を続けてきている.一方,21世紀に入って,欧米を中心に「デジタル・ヒューマニティーズ(DH)」という研究領域が立ち上がっている. これは,従来からのHumanities Computingや人文科学とコンピュータ(CH)の活動を基礎とし,さらにWEBとデジタル・アーカイブ,レポジトリなどの 巨大ストレージを中心としたデジタル情報資源の共有,研究コラボレーションなどをより重視し,これに基づいてグローバルな規模の次世代型の人文研究を 進めようというものである.今後の人文科学のありかたを変えるものとして期待されている.本発表では,このCHからDHへの変遷の背景と意図するものを探る. |
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文化を媒介する道具としてのWeb技術 我々は現在,Web空間を介した利用者同士の協調作業や対話によって,文化情報を保存・蓄積・共有するためのインフラ構築と方法論の確立に取り組んでいる. 本パネルではまず,ある地域の人々が持つ個人的な記憶から「場の記憶」をボトムアップに顕在化させていくためのWeb環境を紹介する.次に,メタバースに おける日本文化学習支援のためのコンテンツ構築を目指す学際的なプロジェクトについて紹介する.最後に,コンピューティング技術を用いることで,個人的な ナラティヴから「集合的な文化」を再構成し,また既存の人文科学に「新しい考え方」をもたらす新しいアプローチの可能性について議論する. |
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バーチャル京都プロジェクト 歴史空間の研究においてGISは大きな変革をもたらした.歴史地理情報研究グループは,GISとこれに関連する技術を用いて京都という都市空間の過去・現在・未来を, 「バーチャル京都」と名付けた仮想的地理環境(VGE)としてモデル化している.バーチャル京都は2次元および3次元の時空間的GISデータから構成され,様々な サブプロジェクトを通して,歴史空間の新たな理解をめざすとともに,多様な文化・芸術コンテンツを地理的にリンケージするデジタルミュージアムのインターフェース として活用されている.さらには,景観政策の帰結など都市政策と関連した情報をもって京都の未来を考えるバーチャル京都の役割も追求されている. |
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在外日本陶磁器研究とデジタル・ヒューマニティーズ 発表者は立命館大学アート・リサーチセンターにおいて,主に在外コレクションに所蔵される日本陶磁器のデータベース構築とデータ拡充を進めている. 海外複数の拠点の所蔵品デジタルアーカイブを構築し,それを連携することにより,これまでは困難であったコレクション間の比較や,海外における日本文化 理解の変遷についての詳細な検討が可能になる.本発表では具体的な研究事例を紹介し,人文学研究分野におけるデジタル・ヒューマニティーズの可能性と 今後の課題について述べる. |
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