Concept――"ユビキタス環境で周囲の物体と対話をする"


次の文は有名な『アリスと不思議の国』の一節です。

"Would it be of any use, now, to speak to this mouse? Everything is so out-of-the-way down here, that I should think very likely it can talk."

不思議の国では、うさぎ、ねずみ、猫にトランプまでが人間の言葉を話します。アリスは今度は冷蔵庫や自動販売機と会話を始めるかもしれません。

"Who are you?"
"I am called Pacari Sweat."
"Oh, do Japanese drink sweat?"
"How dear, ........"

冷蔵庫や自動販売機は会話を行い、冷蔵庫は中に入っている物、自動販売機は売っている飲み物、など自分自身に関係する情報をもたらしてくれます。周囲の物体が対話能力を持ち、情報提供してくれる――それがCommunicating Culture Projectです。このような由来を持つため、このプロジェクトをALICEプロジェクトと呼んでいます。


何故対話する物体を作るのか

今日、情報だけでなく人々が世界中を移動し、異なる文化的背景を持つ人々が集まって、地域に特有の伝統に触れる機会が増えてきたと言えます。その一例が相撲です。今や上位力士の半数が外国の出身です。文化的背景の異なる人々が、日本という地域特有の文化を理解し、楽しむようになっています。



将来、さまざまな文化圏の人々が実際に顔を合わせて会話するようになれば、文化の知識を持った対話エージェントが外国人の援助をすることが重要となってきます。エージェントの役割で第一に必要なのは言語の翻訳です。そして、言語面だけでなく知識面での援助も考えられます。たとえば、その土地にしかないものについて『これは何?』と訊かれたときに答えるなどの役割です。

万能のエージェントを作ることは困難です。しかし、役割を限定すれば、対話内容が限定されるため、比較的容易になります。では、ユビキタス環境において、周囲の物体すべてを単機能の対話エージェントにすればどうなるか?冷蔵庫に自動販売機のことを尋ねることはありませんから、冷蔵庫は冷蔵庫に関する内容の対話さえ行えれば良いわけです。他の物体でも同様です。

つまり、周囲の状況のすべてを把握するエージェントではなく、自分自身の役割に応じた内容の対話を行うエージェントの集合体を作ることが本プロジェクトの目的です。



Last Update : 2006.04.17 Send questions or comments to: rtanaka at ai.soc.i.kyoto-u.ac.jp